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2013年3月の記事一覧

私的名盤コレクションvol.3 ニューオリンズブラスバンドにしびれたい人へ

2013/03/11 21:58

Eponymous Debut.png

【Eponymous Debut/All That】


私は小さい頃からラジオばかり聴いていた。
両親は「テレビを見たらバカになる」という、ちびっこにはなんとも酷な独自の家訓を私に言い渡したからである。
けれど物心つく頃には音楽が好きだった私は、四六時中音楽が流れているラジオにテレビの存在を忘れるほど毎日夢中になっていた。
思春期に通う女子校は流行のドラマの恋愛観を議論する場であり、人気のアイドルグループを愛でる場である。それになんとかついて行けるだけの知識を身につけ、それでも家に帰ればまたラジオに釘付けになっていた。
ラジオは私に喜びと刺激を与えるツールであり、新たな音楽との最高の出会いの場となった。


ここのところ突如ニューオリンズブラスバンドブームが再燃している。といっても勿論個人的な。
寒さが緩んだこともあり、ますますこのサウンドにぴったりな季節になってきた。
ニューオリンズのビートは聴けば必ず踊り出したくなるような底抜けな明るさと、ニューオリンズ特有の蒸し暑い気候を思わせる独特のバイブレーションを持っている。
そしてチューバのほのぼのとした音がベースラインをとり、その上をホーンセクションが暴れる爽快さ。

ALL THATは90年代後半に【Eponymous Debut】で文字通りデビューしたニューオリンズのブラスバンド。
こちらも輸入盤で私が買った当時も国内盤は発売されていないはずだが、なんと久しぶりに探したらその輸入盤すら国内外どのサイトでも見当たらない。紹介するモノ紹介するモノ入手困難とは恐縮至極。寂しいなぁ。見つけた方はご一報ください。
1999年に発売された2stアルバムの【The Whop Boom Bam 】は入手可能。
まだ演奏に粗々しさの残る1stはデビューの勢いと、きっとニューオリンズの仲間で演奏しているであろうバンドのグルーヴが何とも温かい気持ちにさせてくれる。

スピード感溢れるシンバルで始まる①Wolf's Remedyはホーン、ギター、ドラム各パートが、がつんと熱いソロを回しながら最後まで疾走する。おや、ジャムバンドかな、と思いきや②ではニューオリンズブラスバンドの王道Lil' Liza Jane。Rock風味の③Back to Brokeあり、ヒップホップ風味の⑦March Of The Micks、ファンク風味の⑧Little People's placeありで飽きさせない。
"Hony I'm home!!!"という台詞で始まるラブソング⑫Movin' And Groovin' のポップでレイジーなニューオリンズサウンドは私の一押し。
伝統のブラスバンドを敬愛し受け継ぎながら現代流の様々なアプローチで終始楽しませてくれるこのアルバム。
2stではバンドが洗練され、更なる進化と新たな方向性を感じる事が出来るが、この荒削りな勢いのあるサウンドとアプローチ、温かい仲間グルーヴに私は一票!


この最近の私的ニューオリンズブームはまたラジオからやって来た。実は最近デビューした別のブラスバンドのアルバムがきっかけなんだけど、それはまた次回と言うことで。
とりあえず2stアルバムの【The Whop Boom Bam】を聴きつつ、どこかの中古屋さんでばったり1stを見つけるなんて素敵な出会いが皆様にもありますように。


私的ソウル名盤コレクションvol.2  アーリーソウルにしびれたい人へ

2013/03/03 21:04

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【Doin' The Hully Gully・Dance By The Light Of The Moon・Party Time/The OLympics】

ルーツとはなぜこんなにも探りたくなるものなのだろう。
黒人音楽は一枚アルバムを聴くとそれが脈々と続くルーツの根源への入り口となるのだ。
私が黒人音楽にどっぷり浸かってしまうきっかけは、まさにこの入り口を見つけてしまった時なのである。
そしてそのきっかけとなったのがこのアルバム。

The Olympicsのアーヴィー時代のアルバム3枚を収録した【Doin' The Hully Gully/ Dance By The Light Of The Moon/ Party Time】はaceが再発している。流石はイギリスレーベル。特にaceの再発モノのセレクトは凄い。日本版は発売されておらず、私が買った当時もちゃんと値付けをしていない(ありがとう!)中古屋さんで250円くらいで叩き売られていたのを発見したのである。しかも3on1だからお得感満載。(ありがとう!)

音楽の変遷は同時にダンススタイルの変遷とも言えるが、既存のスタイルが行き詰まり飽和状態となった後、また新たなビートが生まれていく。それは現在も然り。
The Olympicsはウエストコーストの4人組。このアルバムは50年代後半から60年代の録音、つまりR&Bからソウルへと変革する分岐点と言える時期なのである。
そしてこの時期はドリフターズ、コースターズなどコーラスグループ隆盛の時代。
その中でもThe Olympicsは美しいハモ、というより全員がシャウトするような荒くれコーラス(笑)
それがまたたまらず魅力的なのだ。

【Doin' The Hully Gully】の1曲目、(Baby) Hully gullyはその名の通り新しいダンススタイルとして確立していく。
このまだソウルというには、重たすぎるなんともちぐはぐなビートが、R&Bからソウルへの息吹を充分に感じさせる。ここにルーツの変遷を感じる旨味が凝縮されているのである。この変革期のまっただ中ともいえる癖のあるビートにはまったら暫く抜けられない。
5曲目にはレイチャールズのWhat'd I say をカバー。コーラスグループで少しポップになったアレンジも面白い。

【Dance By The Light Of The Moon】2曲目、Workin' Hardでは、ソウルへの変遷を感じさせながらも、Doo-WopとR&Rを行き来してしまうこの時期ならではの要素満載。にんまり。コーラスワークはやはり抜群。

【PARTY TIME】ではSam CookeのEverybody likes to Cha Cha Cha、The DriftersのSave The Last Dance For Meのカバーもあり。Pony Time、Party Pooper、でノーザンビート、ソウルへの息吹をしっかりと感じつつ、やはりR&Bが抜けきらない感。そしてラスト曲Twist、当時流行ダンス曲で締めくくる。

この場所からソウル全盛期に胸を馳せ、眺める景色もまた魅惑的な世界なのである。

PROFILE

千賀有花(せんがゆか)

ソウル・リズムアンドブルース(R&B)・ブルース
シンガーソングライター
ボーカリスト(歌手)・作詞・作曲家。
1920年代〜70年代の黒人音楽を敬愛する【J-BLUES】提唱者。レディーブルースを盛り上げるために精力的に活動中。

詳しいプロフィール

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